副鼻腔炎が、鍼灸施術により改善した症例 (大阪市 40代 女性)
お悩みの症状
今回の症例は、「副鼻腔炎」の方です。長年、鼻炎の症状があり、年中鼻づまりやくしゃみ、頭痛を繰り返していました。 最初は市販薬を使い対応していたようですが、徐々に効かなくなり、耳鼻科へいくと、「副鼻腔炎」とのこと。
特に、左側鼻の炎症が強かったようで、鼻茸(はなたけ)といって、炎症で粘膜が腫れてしまい、キノコ状になり鼻腔を圧迫していたそうです。
その後も処方箋を使ったり、鼻腔内の掃除をしたりなどの処置をしていたようですが、中々改善が無いため、鍼灸施術を希望されてご来院されました。
「副鼻腔炎」は花粉症に次ぐほど、日本人には多い疾患の一つです。 最初は軽い鼻づまりや、例えば掃除をした時に鼻水が止まらなくなるなど、日常生活にはほとんど影響が出ないものではありますが、進行していくと炎症が強くなるため、頭痛や異臭、めまい感や頭がぼーっとして熱っぽく感じたりもします。
さらに進行すると、「蓄膿症」といって、膿が副鼻腔内に溜まってしまい、より改善が難しくなります。
どれも免疫力の低下によるものがほとんどで、「鼻茸」というのが出来ている場合は、「好酸球(こうさんきゅう)」といって、白血球内の免疫細胞の暴走により、過剰なアレルギー反応が起こっている状態です。
普段吸入する空気内のごみや花粉などに過剰に反応してしまい、常に炎症が起こっている状態です。
「好酸球性副鼻腔炎」という、根治が難しい病態と病院で言われる方もいらっしゃいます。
治療方法
1.カウンセリング・検査
2.脈診、舌診、腹診で体の状態の把握・症状と照らし合わせる。
3.ハリの説明を治療前に行う
4.上向きで手足と頭に数本ハリを打つ
5.抜いてうつ伏せになり、背中にハリを打つ
当院での治療後の患者様の感想
まず、中医学的には、炎症反応は「熱」として捉えていきます。西洋医学的に発熱が無くても、炎症が起こっているため「熱」があると考えます。
それに加えて、「寒邪(かんじゃ)」や、「風邪(ふうじゃ)」、「湿邪(しつじゃ)」、もしくは「於血(おけつ)」、「痰(たん)」などの中医学的な要素が加わり、複雑化していきます。
「寒邪(かんじゃ)」は、その名の通り体が冷えたり、寒い風などにより症状が発現する状態です。 「風邪(ふうじゃ)」は、今でいう強風による体への影響や、花粉やハウスダストなどの微小なアレルギー源も風邪に分類され、「湿邪(しつじゃ)」は湿度、他にも、脂っこい食べ物やお酒なども湿邪として捉えます。「於血(おけつ)」は、外傷性の打撲や、血流障害、つまりは肩こりなどですね。
現代でも周囲に数多くあるこの要素を、当院では中医学的に、舌や脈、腹部の状態や症状の経過や発症のきっかけなど、詳しく聞いていき原因を絞っていきます。
また、鼻汁の色や症状が強くなりやすい時間帯や状況などを聞き、しっかりと病態を把握していきます。
今回の方は、炎症も起こっている状態でしたが、常に透明の鼻汁が出ているとのこと。 ただ、朝だけは黄色い鼻汁や痰が絡んで出てくるとのことでした。
この状態は、透明の鼻水は体が冷える事で起こっている、「寒(かん)」の症状で、黄色い鼻汁や痰がでるのは、「熱」の症状となります。
また、時間帯的に、朝方は「寒」の時間帯にも関わらず、「熱」の症状が出ていて、 「寒」と「熱」が複雑に絡まっているということが分かります。
中医学的には、「寒熱錯雑(かんねつさくざつ)」といって、冷えである寒の症状と、体に熱がこもってなる熱の症状が同時に出る病態として捉えます。
病院の薬では、基本的には炎症などの「熱」の症状を取る事には長けていますが、冷えが主体となる「寒」の症状を取るのは難しいです。
今回の方の場合は、上記の理由により、中々改善がみられなかった可能性が高かったため、 「熱」と「寒」の症状を同時に取っていく施術を続けました。
基本的には「寒」の症状が主体となってはいましたが、温めすぎると「熱」の症状を感化させてしまうため、ツボの使い方や鍼の操作の仕方がとても大切になります。
長年患っていた症状であった為、3ヶ月ほど必要となりましたが、徐々に症状も軽減していき、 鼻茸自体もほとんど見えなくなった様です。
このように、今の時期から増えてくる鼻炎の症状や花粉症状、他にも副鼻腔炎や蓄膿症も、鍼灸施術をして免疫力をしっかり向上させると、薬も必要ないくらいに改善する方が多いです。