逆流性食道炎の症状が、鍼灸施術により改善した症例 (神戸市 30代 男性)
お悩みの症状
今回の患者さんは、「逆流性食道炎」の方です。胃カメラなどの画像診断は一通りしたようで、食道と胃の間にある、「噴門部(ふんもんぶ)」と呼ばれる部分が開いており、胃の内容物や、胃酸が食道側に上がってきていたとのことでした。
俗にいう「逆流性食道炎」とのことで、胃薬や、そのほかいくつかの「逆流性食道炎」に対応する薬を使ったようですが、特に効果が出ず、他の方法を探して当院へ来院されました。
治療方法
1.カウンセリング・検査
2.脈診、舌診、腹診で体の状態の把握・症状と照らし合わせる。
3.ハリの説明を治療前に行う
4.上向きで手足と頭に数本ハリを打つ
5.抜いてうつ伏せになり、背中にハリを打つ
当院での治療後の患者様の感想
最初のご来院時は、座っていると常に吐き気のようなものと、たまに胸のあたりがシクシクするような、炎症があるような感覚がありました。横向きに寝ても、枕を高くしないと症状は出続けるような状態でした。
「逆流性食道炎」は、一度なると中々改善が難しくなります。 これは、「噴門部」にある「括約筋(かつやくきん)」という、栓をする働きをしている筋肉の機能が低下してしまうもので、一度緩んでしまうと中々元の状態に戻りにくい特徴があります。
これは、尿道や肛門にも存在する筋肉で、そちらの筋肉は「骨盤底筋運動」といってトレーニングすることができますが、胃の噴門部に存在する括約筋は自身でトレーニングすることはできません。
これは、「迷走神経(めいそうしんけい)」といって、自律神経の一種で調節を受けるからです。 自律神経とは、自分で調節をするものではない、内臓の動きや、血流、血圧などを無意識的に調節をしてくれる、人体中でもの非常に大切な役割をします。
しかし、現代の生活が、あまりにも自律神経を乱しやすい生活習慣が多く、結果的に、「自律神経失調症」や、今回のような「逆流性食道炎」というものに発展してしまいます。
自律神経というのは、薬での調節が難しいため、今回のような症例の場合は、薬がほとんど効かない例も多いです。
食生活、生活リズムの改善、適度な運動など、自律神経を整えるようにしないといけません。 ただ、ある程度乱れている場合は、それだけでは改善がしにくい場合も多いです。
今回の「逆流性食道炎」の場合、先ほどの自律神経系の調節のほかに、胃や食道の機能改善を同時にする必要があります。
基本的には、「胃気上逆(いきじょうぎゃく)」、「肝気犯胃(かんきはんい)」という東洋医学的な診断ができます。
東洋医学的な胃の機能とは、「降濁機能(こうだくきのう)」といって、食べ物などを下にある十二指腸や小腸、大腸へ運ぶ機能があるといわれており、この機能が低下することで、下に運ぶものが停滞し、上に噴出してしまうのが、「逆流性食道炎」の状態です。
今回の患者さんは、かなり偏った食生活をしており、症状がある程度改善してから、食事に関する指導もさせていただきました。
本人の努力の甲斐もあり、今ではほとんど症状もなく、胃がもたれているせいでなっていた不良姿勢(猫背もかなりきつかったです。)も改善しました。
中には、食生活の改善を中々できない方もいらっしゃるため、その場合はもっと時間が必要となります。
東洋医学では、食事や気候、生活リズムや季節など、色々な要因を考慮して治療にあたる必要があるため、その辺も早く改善するためには極めて大事なこととなります。
当院では、単純な鍼灸による施術だけではなく、食生活やその人それぞれの体質に合った指導を西洋医学的・東洋医学的にしっかり勉強をした上で行っています。